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子供に回帰する宿 
  
画 家 
平山郁夫


「つつ井旅館」は私の故郷である瀬戸田町にある。
瀬戸内海の東西南北の十字路にあたる生口島。
ここは内海でも大小の島が密集する風光明媚な地帯だ。
旅館は港務所の前にある。
子供の頃は、夏になるとその周辺で水泳をした思い出がある。
五、六十メートル前方には高根島。
その間が河のように流れ美しい所だ。
港務所一帯は町の玄関であり、島を訪れた客が往来して賑やかである。
子供の頃、本土からきた巡航船の来客から都会の香りを感じたものである。
さまざまな職業の人が旅館に入る。
​どんな人であろうかと想像しながら、私も早く旅をしたいものだと憧れたことがある。
この「つつ井旅館」で級会を開くこともある。
故郷の人々と集まって語り合うこともある。
「つつ井旅館」の玄関を出入りする度に、子供の頃を思い出して懐かしい。
私が帰省する度に、ここのご主人も出席してくれる。
最近はアジア・中近東の外国取材旅行が多い。
砂漠や不便な山岳地の旅では宿屋も不便な所が多い。
侘しい寒村での泊まりは一種独特の旅情がある。
ふとこんな時に故郷を思い出すことがある。
美しい海や新鮮な魚の幻である。
夢で子供に回帰している。

    
                              (週刊朝日・ひいきの宿より)

歴史と豊かな景観。めぐまれた海の幸。


「旅館つつ井」は明治四十三年、この地で最初の旅館として創業以来、この島を訪れた多くの方々をお迎えし、おもてなしして参りました。

そしていまも、これからも潮の香りと島人のあたたかい心でお迎えして参る所存でございます。

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